前回(4/13)からの続きです(^^;)。
(3)生体に存在する栄養素を至適量投与すること
オーソモレキュラーでは、人間のからだにとって、未知の栄養素、物質を投与するのではなく、人間の体内で実際に働いている栄養素を使用して、栄養、代謝のバランスを整えていきます。
“precursor(前駆体)でcrude(天然のままの、加工されていない)”が、オーソモレキュラーの基本になっていますが、これは人間のからだ、及びその代謝にとって、薬物のような人工物よりもより負担が少なく、親和性の高いものといえます。
つまり、オーソモレキュラーは、ビタミンやミネラルなどの栄養素を用いることにより、人間のからだの自然な代謝をサポートして、自己治癒力を高めていく療法といえます。
これは、セルフケアを考える意味でも重要なことです。食事を整えることが、治療の基本となるからです。
「人は食べた物でつくられる」(ロジャー・ウィリアムス)という言葉があるように、からだの健康もこころの健康も食事(栄養)で作られると言えます。
(4)こころとからだを統合的にみることができること
今の医療は臓器別に細分化されていますので、精神症状では心療内科・精神科、皮膚症状では皮膚科、消化器症状では消化器内科を受診することになるかと思います。
これにより、専門的な治療を行うことができるというメリットはあります。
ですが、「心身相関」という言葉を持ち出すまでもなく、そもそもこころとからだは密接に関係しており、こころの症状とからだの症状は切り離して考えることはできません。
こころがしんどいときは、からだもしんどいのです。
うつや不安、イライラなど、こころの症状を訴える人は、食欲減退、痛み、動悸、倦怠感など、からだの症状も併せ持っていることが多いです。
逆に、からだがしんどいときは、こころもしんどいのです。
痛みが強かったり、よくおなかを下したり、胸が苦しかったりなどすると、こころも不安に駆られて元気にはなれないでしょう。
つまり、こころを元気にすることは、からだを元気にすることですし、逆もしかりです。
病態全体のなかで、こころの症状とからだの症状を捉えることが必要であり、それらを切り離してしまうと、患者さんに対して効果的な治療を行うことができない場合が多々あります。
多彩な不定愁訴、長きにわたる症状、なかなか安定しない症状、慢性疲労などは、臓器別の治療では対応困難です。
オーソモレキュラーでは、生化学的な結果をもとに、こころとからだを一元的に診ることができますので、そういった症状に対しても治療の可能性が開けます。
オーソモレキュラーの観点から血液検査をみてみると、こころやからだの症状と検査結果が相関していることが多いことに気づきます。
今までは問題なしとみられていた結果が、オーソモレキュラー的にみると、かなりの栄養不足と判断でき、その方向で治療することにより、様々なからだやこころの症状が改善されていくことをみることがあります。
(※精神的、身体的に症状が多彩で、動揺性、遷延性に経過する場合、背景に愛着やトラウマ、発達の問題が潜んでいる場合がありますが、ここでは触れないでおきます。)
以上から私は、心療内科・精神科領域で、オーソモレキュラーがもっと注目されるといいのにと思っています。
もう少し続きます(^^)。
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