今回は、私がオーソモレキュラーをどのようにみているのか、お話したいと思います。

私自身が栄養療法に出会ったのは、大沢博先生の『食事で治す心の病』(2003)においてです(ということは、医学部生時代ですね)。

オーソモレキュラーの第一人者である溝口徹先生の著書を最初に拝読したのは、『診たて違いの心の病』(2006)でした。

それまで、食事や栄養がこころの健康に大きな影響を及ぼすことなど、あまり意識していませんでしたが、薬物ではなく、栄養で精神疾患が治療しうるということに大きな興味を覚えました。

現在私は、オーソモレキュラーをベースにナチュラルハイジーンや酵素栄養学、ファスティングなどの知見も取り入れながら栄養療法を行っています。

私自身は、オーソモレキュラーは、心療内科・精神科領域の治療において有用であると考えています。

理由として、オーソモレキュラーが以下の特徴をもつからです。

(1)科学的理論に基づいた手法であること

オーソモレキュラー療法においては、二重盲検ランダム化比較試験のような質の高いとされるエビデンスは、まだ決して多くはないのが現状ですが、まったく手前勝手な理論を主張しているわけでもありません。

オーソモレキュラーは、生化学、分子生物学の教科書、論文にも記載されている、これまでの科学的研究によって積み重ねられた知識、知見に依拠しています。

ですので、オーソモレキュラーは、一定の理論的客観性を有していますし、そのことが臨床の最前線にいる医師の信用を得ることにつながっています(巷の健康法、食事療法とは一線を画しています)。

(2)個別化医療であること

オーソモレキュラーでは、血液や尿、唾液などの検査を行い、その結果をもとに個別に治療を組み立てていきます(オーダーメイドメディスン)。

からだの状態、こころの状態、代謝の状態は、人それぞれですので、必要な栄養素の種類や量も変わってきます。

例えば、ビタミンの必要量は個人差がかなりあります。

ストレス、SNPs(一塩基多型)、有害物質の蓄積などにより、酵素の働きが変わってくるため、酵素の働きをサポートするビタミン(補酵素)の必要性も個人差を生じるからです。

(※SNPsとは、DNAの塩基配列で1つの塩基だけ別の塩基に置き換わっているものをいいます。これにより、作られるタンパク質の構造が微妙に変わり、働きも変わってきます。酵素(タンパク質から作られます)の働きが変われば、代謝にも大きな影響を及ぼします。)

ですので、一律な栄養指導、治療は行うことができず、臨床試験にものりにくいのは事実です。

以下、次回に続きますm(_)m

 

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