うつ病とニューロフィードバック

　みなさんこんにちは、ニューロフィードバックセラピストです。

　当院でニューロフィードバックを導入してから、早１年弱が経とうとしています。

　まだまだ、「ニューロフィードバックってなに？」「脳波にアプローチって何かあやしいんじゃないの？」なんてお考えの方も多いのではないでしょうか。

　今回は、うつ病とニューロフィードバックについて、ニューロフィードバックはうつ病治療に効果があるのかどうかもあわせてご紹介いたしましょう。

　このストレスフルな現代社会、うつ病患者さんは増加の一途をたどっています。これは世界的な規模で起きており、WHO（世界保健機関）は、2030年にはうつ病が疾病負荷の第１位になるとの予測を報告しています。

　現在うつ病の治療法は、抗うつ薬によるお薬での治療が主体となっていますが、一方で効果があまり見られなかったり、お薬が手放せなくなったり、お薬の副作用で悩んだりする患者さんが多くいらっしゃるのも事実です。

　そんななか、ニューロフィードバックはうつ病の、お薬以外での新たな治療法として最近注目を浴びています。

　令和２年、広島大学の研究室が、ニューロフィードバックによる新たなうつ病治療法を開発したと報告しました。

　広島大学の研究チームはかねてより、fMRIを用いた脳機能の研究から、うつ病では、左側前頭葉の一部の機能低下と、頭頂葉の一部の機能亢進（機能が高ぶること）があると報告していました。これらは、うつ病の症状である、認知機能の低下や反すう症状（自分自身の状態、その原因、結果について考え続けること）と関連があるとみられています。

　これをうけて、広島大学研究チームは、お薬の治療で効果のみられなかったうつ病患者さん６名を対象に、左前頭葉の活動を高めるニューロフィードバックトレーニングを実施しました。毎日15分程度５日間続け、訓練の前後での、うつ病の重症度と反すう症状を測定し比較したところ、これらの症状が減少していることが明らかになったのです。

　これは、世界で初めて、左前頭葉の機能を高めるニューロフィードバックトレーニングが抗うつ作用を持つこと、うつ病治療に対して効果的であることを示した研究となりました。

　「ニューロ」「脳波」などときくと、「何かあやしいんじゃないか」「怖い療法なのではないか」などと不安に思う方もいらっしゃることと思います。

　しかし、ニューロフィードバックを取り巻く研究は日々進歩しており、私たちの健康をよりよく保つための、新たな可能性を秘めているのです。

　広島大学HP【研究成果】患者自身で脳活動を改善する新たなうつ病治療法を開発しました～リアルタイムfMRIをもちいた前頭葉の脳活動制御（ニューロフィードバック）によるうつ病新規治療の可能性～　参照

　JR尼崎駅南側徒歩３分　心療内科・精神科

　たかはしこころのクリニック